菊芋の主な成分はイヌリンという多糖類の一種です。多くのイモ類はデンプンで体内に吸収されると直ぐにブドウ糖に分解され血糖値を上昇させますが、イヌリンは果糖の重合体で分解されても短い果糖になるだけで消化がされにくく胃の中に長時間とどまります。そのため腸管からの糖の吸収が穏やかでインスリンの分泌を少量に抑え血糖値の急上昇を防ぐことができます。こうしたことから「天然のインスリン」とよばれています。イヌリンの名前はキク科オグリマ属の多年草植物(inula)から抽出されたことから由来しています。
原産地は北米で明治初年に日本に導入され、余り目立った存在ではありませんでしたが、アメリカなどでも次々と研究発表され成分のイヌリンの効果が知られるようになりました。
イヌリン【Inulin(ドイツ)】は胃腸を通過すると水分を吸収してゼリー状になり体内の余分な糖や脂肪をからめ取って吸収をしにくくすることが分かっています。東京女子医大の出村博名誉教授が行った試験では38人(男性17人、女性21人平均年齢59歳)を対象に菊芋の有効成分を抽出した食品(菊芋粒1日当たり250mgX15粒)7か月間摂り、結果として約9割の人たち血糖値が低下したという結果が報告されました。(試験期間2005年9月2日~‘06年4月14日)
また、菊芋は腹囲や太もも周り、体重などの減少も同試験で報告されています。水溶性の食物繊維であるイヌリンが豊富に含まれる菊芋は、便通もよくなることからメタボ改善食品としても注目されています。
第2回アジア科学シンポジュムではベルギー ルーバン・カトリック大学のMarcel Roberfroid名誉教授によってイヌリンが善玉菌を増やす、免疫機能の調整、カルシューム・マグネシュームの吸収を促進するこを実証し報告しました。
世界では10秒に1人が糖尿病で亡くなり、10秒に2人が糖尿病になっています。
イヌリン含有比較
菊芋 |
13%~20% |
ごぼう |
5%~10% |
ニラ |
3%~10% |
玉ねぎ |
2%~6% |
アスパラガス |
0.6% |
|
菊芋の成分 (菊芋100g中のミネラル、ビタミン)
ミネラル |
ビタミン |
カリウム |
630mg |
ビタミンB1 |
0.07mg |
カルシウム |
13mg |
ビタミンB2 |
0.05mg |
マグネシウム |
13mg |
ナイアシン |
1.7mg |
リン |
55mg |
ビタミンB6 |
0.05mg |
鉄 |
0.2mg |
葉酸 |
7ug |
亜鉛 |
0.3mg |
パントテン酸 |
0.14mg |
銅 |
0.16mg |
ビタミンC |
12mg |
ナトリウム |
2mg |
ビタミンE |
0.1mg |
|
その他 (微量成分)βーカロチン、コリンポリフェノール、フラボノイド、
セレン、マンガンなど
今年の菊芋です(国内産) |