中国経済の行方と現実  「日本製品は良いが高くて買えない時代から、日本製品は高いが良いから買う時代に!」
内需拡大の持続性と成長率について                                    2012年8月29日

●実質成長率

2008年のリーマンショクにおいての6%成長を除き、2003年から前年比10%以上で推移して
いた中国の経済成長率も2011年は8%台に 落ち込んだ。

この事象を捉え中国経済の減速を声高々にマスメデイアは報じるがそれは全くの見当はずれで
ある。ここにきてEUの金融不安から輸出は減ったものの内需は自動車をはじめ内陸部の住宅
などの消費は10%以上伸びている。

政府は2004年以前から、急激な成長よりもゆっくりとしたコントロールの利く安定成長を望ん
でいた。そこで土地の高騰や国内の利益を還元させるべく手段として不動産取引の抑制や金融
引き締め政策に転じ、2012年6月の利下げも外需の減少などがあったものの通年では8%の成
長率は、維持するとみられている。

現在、都市部のように不動産価格の上昇率が鈍化したことで、バブル崩壊と言われるが内陸部
や地方、特に広州、成都、重慶、武漢など内陸部は現在も建設ラッシュである。

このように政府は2005年から輸出投資主導型経済から内需主導型経済への転換を進め2008年
の世界経済危機以降は加速している。主要地域である広東、江蘇、浙江、湖北、四川、重慶の
成長率を見ると6対4で内陸部に投資が向いていることがわかる。

では内需主導型経済はどのようになされているか、1は都市化による住宅建設、2はインフラ建設
である。この二つの政策を内陸部中心に促進することにより耐久消費財の需要やサービス消費
拡大とくに教育や医療、交通手段の高速化による産業集積形成などが柱となる。

しかし内需拡大に問題がないわけではない都市化により農村人口は減少し2011年には都市人口
が農村人口を超えた。さらに年間の耕作期間6か月以下が48%を占める結果となっている。

●対中国投資[日本]

日本の対中投資直接投資件数は年間4500件であり約75億ドル使われ2012年は金額から見
れば、過去最大である。特徴は工場から市場へ、サービス業の増大や収益再投資が増えている。

●所得水準と消費行動

沿海部の所得水準の上昇は一人当たりGDPが1万ドルに達し、それと同時に消費行動が大きく変化
する。その都市は2007年に蘇州、無錫、シンセン2008年広州、上海、杭州、オルドス、ネイハ
などで2008年には北京、大連、常州、以後2011年は南京、瀋陽、長沙、南京などで、その合計
人口は15,846万人となる。

中国の消費ニーズは所得水準の高度化により、日本製は質は良いが高いから買わない時代から、
日本製品は少し高いが質がいいから買う
という時代に入ってきた。

つまりこれからが日本製品を中国市場で販売するチャンスなのである。しかし中国を理解する難し
さは、 変化が速すぎること、文化の違いだけでなく日本企業のほとんどは理解できないでいる。

ならば今から50年前にさかのぼり、コカコーラ、マクドナルド、ベンツを販売したのは誰かを思い
出せば自ずと答えは見えてくる。

中国市場は中国人に任せるほかないのが現実的で堅実である。とはいえ乖離の調整役となるのもコン
サルタントの役割かもしれません。(文責 OMD )

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