提言 尖閣列島問題
**尖閣列島はこうすれば良い**
領土問題でこじれた日中の関係。1973年国交正常化より、次世代の有能な知恵に委ねようと長年にわたり棚上げしてきた尖閣問題を野田政権があらためて、表面化させ日中双方に大きな亀裂が生じてしまった。この問題に関しては今の日中関係を政治、経済、文化活動においても問題が生じている。早期解決のためにも少しだけ、私見を申し上げたいと思い筆をとりました。
私は1970年代から宇都宮徳馬衆議院議員の秘書として、中国に随行いたし日中友好条約締結のためのなまめかしい話し合いの場のなかに同席したり、日中関係のなかで仕事をさせていただきました。当時は周恩来婦人や廖正志全人代常務委員長、張香山、現在は国務院を引退され中日友好協会会長の唐家旋(せん)氏など沢山の友人知己と現在も交流を継続しております。(日中間ではじめて行われたLT貿易。Lの字は廖正志委員長の頭文字をとったものTは高崎辰之助さんの頭文字・・余談ですが当時は日中友好条約締結にはほとんどが反対、貿易額の低さにも批判的であった)
このような私が何か申し上げるのは僭越でありますが、長年にわたり中国政府やの日本政府に近い場所におりました者として、これからの日中関係はどうあらねばならないかということを提言させていただきたいと思います。
先ずは日中友好条約の中にある反覇権条項をお互いに守りぬくことです。それは武力をもって多民族を支配しないということでもっとも重要なことであります。日本の首相は直ぐにでも中国に行き、偶発的な事態を避けるべき話し合いをしておくことです。どんな戦争も偶発的なことから始まります保安庁にしても自衛隊にしても武力を装備した者同士が接近すれば偶発は些細なことでも起きます。また、アジアの安全保障面からみても日中両国の友好は必要条件であり重要です。
アセアンの枠組みにも今や経済は中国、安全保障は米国にと時代が変わっており、JAPAN AS NO1の時代は終わったという認識は頭の片隅においておく必要があります。何か事件が起これば、アセアンが開催された中国に近いカンボジアなどのグループと中国と国境問題をもつインドネシア、タイ、フイリピンなどとの関係悪化の影響は免れられません。
更に、今まで中国投資してきた日本企業にとってこれから
もこれからも成長を続ける有望な市場であり、これからが回収の時期に来ています。逃す手はありません。
私は戦争をするか、譲るか、共同開発するか、再び棚上げするかしかないと思っております。戦争はできません。お互いの国が譲り合うこともあり得ません。国が国土を売却する話はありますが、売る方に所有権を認めたことになりますからこの場合も当てはまりません。共同開発の可能性をさぐりながら棚上げするしかないと思います。係争するより生産的です。
失礼かもしれませんが、現在の中国経済動向や中国そのものを視ていると丁度日本の昭和35年くらいという時代のころに非常に類似しています。これから所得倍増計画があったり、賃金格差で出稼ぎ労働者がいたり、日本の集団就職の時代など想起させます。貧乏人は麦を食えなんて言った時代でした。
現在の中国は国際社会の中で国民意識は未成熟で中国政府も必死です。まして、政権交代したばかりの習近平政権の政治的基盤は薄く安定していない状態と思えます。
さて、今回の領土問題で誰が得をするのでしょうか、アメリカが日本寄りの発言をすれば中国は躍起になってアメリカ国債を買うはずです。損をするのは日中の両国の国民でしょう、早期に回復し仲良くするしか方法は無いのです。
弱い国からはなかなか仲直りしようと言い出せません。是非、日本の総理に中国に訪問してもらいたいと思います。
一般社団法人 OMD理事 樋口亮一 (あくまでも私見であり当法人の業務とは一切関係はありません) |