Russia Information 最新ロシア政治経済事情 2015/1/6 Russian Fedeion - Republic of Ukraine |
ロシアが抱えたウクライナ問題とは --「直面している問題の多くは海外に端を発している。」-- ロシアのクルミア併合以後、ウクライナのドネツク州、ルガンスク州では親ロシア派武装集団が人民共和国の独立宣言を行いロシアへの編入を求めています。
ロシアが併合したクルミア自治共和国は人口が240万人、その内の6割がロシア人です。2014年3月に住民投票が行われ、ロシア編入に96.7%の賛成票が投じられました。この住民投票には不正があったと言われているのも事実です。しかし、ロシアがクルミアを併合した時点でウクライナの市民たちは誰一人抵抗をしませんでした。 一方ノボロシアのロシア編入についてはクルミアと全く事情が異なります。ロシア系住民も39%に過ぎません。言語に関しては、確かにドネツク州やルガンスク州は親ロシア派の政権でロシア語を話す人は75%もいます。 2014年11月にウクライナのポロシェンコ政権は特例としてこの地域に対して同年12月7日に独自の選挙を認めましたが、親ロシア派武装集団はこれより先に強硬的手段をとりました。 ウクライナとロシアの関係で重要なことの一つにウクライナは自国で消費する天然ガスの約9割をロシアから輸入し、その代金の滞納額55億ドルが現在も未払いとなっています。 石炭も世界的な規模を誇るドネツク炭田を親ロシア派に抑えられ、火力発電の石炭もアフリカから輸入するという事態になっています。その上、原子力発電4基も同様に核燃料の供給側はロシアでありウクライナは電力供給量の45%は原子力発電に依存しています。 2国間には歴史的経緯や化石燃料が国の外交的手段に利用されるなど、さまざまな内包された問題があり、その総ては解りませんが、両国間で早期にこれらの問題を協議し解決をしてほしいと願うばかりです。 他国による武器の供与、経済制裁が両国に良い影響を当てられるのでしょうか、終焉した東西冷戦の枠組みを復活させることは避けた方が良いのではないでしょうか。
原油価格とロシア経済について ロシアは国営企業である石油・天然ガス関連企業に大きく依存しています。化石燃料は連邦予算の半分、輸出額の約60%に寄与しています。政府は多くのエネルギー企業に出資し、政府が支援する銀行による融資でこれらの企業と間接的な結びつきも有しています。 12月9日付けモスクワタイムスには楽観視した原油価格とロシア経済のプーチン見解が掲載されましたが、12月15日にブレント原油がわずか1%の値下がりに対し、ルーブルは対ドルで10%も値を下げました。これは1998年のルーブル暴落以来最大の下落幅となりました。 何がこの危機の加速をもたらしたのか、単純明確な答えはありませんが、ガスプロムやロスネフチなど巨大な国営エネルギー企業が資金調達を行っいたことが理由の1つであります。 ロスネフチは12月12日、同日のロシア国債の利回りをも下回る利率で110億ドル(1兆3300億円)に上るルーブル建て社債を発行しました。ロシア中央銀行はすぐに、この社債をローンの担保として受け入れると発表しました。 この発表に対し国の債務と企業の債務を混同するものであると懸念する声もあります。ロシア政府は2015年末までに約1150億ドル(約13兆8060億円)のドル建て債務も満期を迎えています。 この様々な問題があるなか、更にロシアがウクライナで戦争を煽ったという理由で、米国と欧州連合(EU)は多数のロシア企業に経済制裁を科しました。 その上に米国議会では12月12日にウクライナ軍に武器を供給することで合意しました。欧米諸国はさらなる経済制裁を視野に入れているようですが、これにより戦闘はさらに激化する可能性が高まったと思われます。 2014年12月8日の早朝、1ドルは60ルーブル、同日4時には65ルーブルに翌日の朝には更に68ルーブルとなりました。このまま下落が進めばロシア国内は更なるインフレと同時に賃金も下がることは容易に理解できます。 文責OMD
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